貝印 KAI DESIGN Dept.

ものづくりの美学を「触れる映像」で表現。道具の使い心地を触って体験するサイト。

貝印のデザイン哲学を広く知ってもらうため、Webをはじめとして、展示サイネージや新聞広告などの多様なメディアで展開しました。Webサイトは、貝印製品ならではの切れ味や使いやすさ、プロダクトとしての美意識を体感できるようにインタラクションを交えた演出を実施。ユーザーが映像に介入できる「さわれる映像」として表現することで、プロダクトの立体美も体験できるようなサイトを制作しました。

目次

クライアントについて

貝印株式会社

  • 事業内容

    1908年創業の、刃物の町として有名な岐阜県関市のグローバル刃物メーカー。カミソリ、メンズグルーミング用品、ツメキリなどの身だしなみ用製品や、包丁などの調理・製菓用品、医療用メスなど、1万点以上にもおよぶ生活に密着した刃物を中心に展開。

  • 特徴

    岐阜県関市で培われた刃物づくりの伝統、刃付けに代表される高度な金属加工技術を強みに、自社開発の製造設備と国内外の最適な生産体制を構築。刃物で磨いた技術力を軸に、多様な事業領域へと展開し、世界へ価値を届けています。

プロジェクトが目指したもの

個別のプロダクトデザインにとどまらず、企業全体のブランディングへと寄与していくことが求められていました。そこで、まず貝印のデザイン哲学を言語化し、企業としての価値観や美意識、ものづくりの姿勢を明確にすること。そして、それをWebサイトで体感できるようなサイトとするにはどういった演出が必要かを模索していきました。

プロジェクトタイムライン

期間 : 1年2ヶ月 (2024年9月 ~ 2025年11月)

Point1- 貝印のデザインの美意識を表す、デザインフィロソフィーを定義

ブランド価値定義

工場視察とヒアリングを重ねて
美意識を表出させていく

貝印は、刃物の切れ味がよいことや、代表製品としてカミソリがあることから、特に男性からの認知は大きかった一方で、若年層からの会社認知は弱いという課題がありました。さらに、プロダクトデザインの美学や考え方は、世の中にあまり打ち出されていませんでした。
ものづくりをする上で貝印が常に大切にしている美学は、表面的な美しさだけではなく、機能性があり使いやすいこと。そして、包丁やハサミのような、長く親しまれてきた道具であっても、少しでも新しく、良くしていこうと向き合い続ける姿勢。
製品を製造する自社工場への視察や、デザイン部のメンバーへのヒアリングを経て、それらのデザインに対する美学や価値観を整理。
デザインフィロソフィーとしてメインコピーとステートメントを策定しつつ、貝印のデザインを支える三つの視点として「美の印」も定義しました。

新たに制定した貝印のデザインフィロソフィー

Point2- まるで触っているようなプロダクト紹介の演出

インタラクション演出

製品を使う心地よさと
設計思想を体現

今回目指したのは、プロダクトをただ美しく見せるだけの映像ではなく、その背景にある設計思想や手触りを直感的に感じ取れる表現。そのために選んだのが、Webでしか成立しないインタラクティブな映像体験でした。映像監督にはtangramの矢吹氏を迎え、映像・スチール撮影はヤンス氏が担当。アートディレクター、エンジニアも含めたチームが一体となり、映像と実装の境界を行き来しながら、細部をサイト公開直前まで調整していきました。
映像制作では、単に映像作品として動画を作るのではなく、Webサイト上での挙動を想定したデータ作りを実施。サイト実装段階ではWebGLやblenderを用いてインタラクティブな被写界深度表現を実現。サイトを見るだけではなく、製品に触れているかのように感じられる体験を目指しました。

矢吹監督との映像撮影中の一幕。光の反射を極力避けるため、壁にボウルを貼り付けて撮影。
BlenderとWebGLによる被写界深度のエフェクトを実装
切りやすさ・剃りやすさなどの機能性と使い心地をインタラクションで表現

Point3- Webサイトから、展示会場のサイネージまで展開

メディア展開

Webサイトを主軸に各メディアの

コンテンツを設計

制作したWebサイトはさまざまなメディアへも展開しました。貝印のコンセプトデザイン展示「切れ味とやさしさ展」の会場に流れる縦型サイネージ映像を制作。展示空間に適した見え方を検証しつつ、Webサイトと同じ世界観で制作しました。また、今回制作したデザインフィロソフィーは、日経新聞の広告として掲載されました。サイネージと新聞広告は、プロジェクトを進めるなかで派生的に生まれたメディアで、Webサイトに閉じずに、媒体に合わせて最適な見え方を検討していきました。Webを起点にしながら、メディアを越えて貝印のデザインを届ける施策になりました。

Kai Design展「切れ味とやさしさ」展会場のサイネージ
2025年11月18日の日本経済新聞に、デザインフィロソフィーが掲載されました

作り手の声

道具って成熟した世界、という気づき。そんな中にあって前進していくために「向き合い続ける」という姿勢に同じ作り手として共感しました。
推しは、一見すると普通で使ってみるとかゆいところに手が届きまくってる「SELECT100 シリコンスプーン」です。(このサイトには未掲載です!)

岡部

家の包丁も爪切りも、よく見たらKAIのマークが。 こんなに身近なプロダクトに、こんなにもたくさんの工夫・情熱が注がれていることを知り、リスペクトが止みません。

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クレジット

CLIENT: 貝印株式会社
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Creative Direction, Art Direction, Design: 林 英和(mount inc.) / Technical Direction, Development: 岡部 健二(mount inc.) / Design:山﨑 末鈴(mount inc.), 渡辺 俊(mount inc.) / Development:山下 亜加里(mount inc.), 須多 望(mount inc.) / Produce: 吉田 耕(mount inc.) / Project Management, Information Architecture: 仲橋 祥子(mount inc.) / Copy Writing: 三浦 麻衣(adanda) / Movie / Photography / Movie Direction:矢吹 誠(Tangram) / Photo / Movie:yansu(YOIN inc.) / Gaffer:髙橋 謙太 / Production Management:濱本 みずほ / Retouch: 岩沢 美鶴 / Prototyping: 平井 秀次 / Advisory: 山口 将(Ydot) / Movie Produce / Data Management: 永倉 政信(Tangram) / Model: 高田 静流 / SFX:木藤 遼太 / Motion Design:水野 開斗 / Offline Edit: 市原 賢治 / Online Edit:梅香 悠斗(Ydot)